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ブレン4+S

ペン先がブレないことが売りのボールペンシリーズ「ブレン」に4色+シャープペンのモデルが登場。2018年12月の単色ペン発売から5年あまり、ブレンシリーズに一通りのラインナップがそろうことになる。

これまで、ゼブラは4色とシャープペンを搭載した製品に「マルチ」と名付けることが多かったが、この製品はその慣例からは外れている。

ブレン4+S

上軸は樹脂製なのに対し、下軸は金属製。重心位置は上軸と下軸のつなぎ目付近にあり、平均的な持ち方だと書きやすい位置にある。

上軸は樹脂でありながらも従来品よりも薄肉になっており、ペン軸のスリム化を実現している。公称の軸径は13.3mmで、同社従来品のクリップオンマルチ1000や、競合製品のジェットストリーム4+1やドクターグリップ4+1よりも細い。

 

表 多機能ペンの軸径と重量の比較
製品名軸径重量
ブレン4+S13.3mm21.3g
クリップオンマルチ100014.0mm24.2g
ジェットストリーム4+113.7mm23.6g
ドクターグリップ14.1mm26.3g

※いずれもカタログ値。軸形状が直線ではない場合はこれらの値よりも細い部分がある場合がある。

 

ペン先には「ブレない」ための樹脂部品が取り付けられている。「ブレ」加減は、ブレン3Cと触感上で比較すると大きいように見られる。色数が増えるほど、レバーを押し下げたときのリフィルの角度が急になるので、「ブレ」が大きくなるのはある程度はやむを得ないものと思われる。一方、従来の製品であるクリップオンマルチ1000と比較すると、ブレン4+Sの方がペン先のがたつきは小さかった。

また、内部構造の隙間が詰められているためか、特定の角度なおかつ特定の順序でリフィルを出し入れすると、内部部品が干渉してレバーが押し下げにくい現象がときどき見られた。この点は今後の改善が望まれる。

ペン先

キャップ内には消しゴムが取り付けられている。キャップの形状は独特で、上から見ると楕円のような形に見えるようになっている。また、クリップはコイルバネを使用した可動式であり、開くと上端部がキャップの中にもぐりこむような形になる。

キャップ形状
キャップの中には消しゴム

ノックレバーはリフィルを保持する棒状部品に色付きのラバーが取り付けられており、従来のブレン3Cと同じようなデザイン。レバーを戻すときの音は、静音設計とまでは言わないが、一般的な多色・多機能ペンと比べれば静かである。

 

インクはこれまで通りのエマルジョンインク。SNC-0.5芯、SNC-0.7芯の緑色がこの製品と同時に新発売されているが、中身は従来からあるEK芯と変わりはない。

筆跡

価格は税抜1000円。見た目に高級感はそこまでないが、色々なところの作りこみを見るとむしろ割安な印象で、競合製品を考慮して頑張ってこの価格にしているのではないかと感じられる。

ジェットストリーム 3色ボールペン SXE3-507

新たなジェットストリーム・3色ボールペン(SXE3-507)が発売された。こちらのペン、軸と芯に、2つの大きな特徴を持っている。

ジェットストリーム 3色ボールペン SXE3-507

まず、一つ目、構造上の特徴は、黒色が後端ノック式になっていることだ(赤・青は通常のレバー式)。従来の多色ボールペンは軸側面のレバーを下げて芯を出すが、このペンの黒インクでは単色ボールペンと同じような感覚で、軸のお尻をノックして芯を出すことができるようになっている。出した芯は、お尻を再度ノックするか、他の色のレバーを引き下げることによって、戻すことができる。

ノック部拡大

中を分解してみると、黒色のリフィルの刺さる位置が、赤色や青色に比べてわずかに円の中心寄りに位置している。これは後述する黒色増量芯のブレの緩和にも寄与していると見られる。

軸の内部構造

次に、二つ目、インクの面での特徴は、黒色の替芯にインク増量の新開発の芯(SXR-ML-05、SXR-ML-07)が使用されていることだ。外形は従来の多色用替芯(SXR-80系列)と同じであるが、パイプの内径が広く、従来品に比べてインクがたくさん入っている(従来比70%増)。芯が軸に刺さる部分(後端)の内径は従来芯SXR-80と同じになっており、互換性がある(※)。したがって、増量インクの替芯だけを購入して、従来のジェットストリーム多色・多機能ペンに刺すこともできるようになっている。

増量芯と従来芯を見比べてみると、増量芯の方がインクの円柱の幅が広く、またインクの色もくっきりと見え、パイプの厚みが薄くなっていることが分かる。

増量芯(SXR-ML-05)と従来芯(SXR-80-05)の比較

一方、パイプが薄くなった分、芯の曲げに対する剛性は低くなっている。同じくらいの力で芯を曲げてみると、増量芯の方がよく曲がる。芯の曲がりやすさは筆圧をかけたときのペン先のブレに繋がる。先ほど述べたように、黒芯の差し込む位置がやや中央寄りとなっており、ペン芯の曲げが緩和される構造となっているが、実際に筆記してみると、弱めの筆圧だと違いはほとんど感じられなかった一方で、コピー用紙に窪みができる程度の強い筆圧で書くと、増量芯のみ、ペン先が筆圧によって少し引っ込む現象が見られた。

※ 公式発表では、0.7mm増量芯(SXR-ML-07)とジェットストリームF(SXE3-601-05)の組み合わせのみ不可となっている。

ブレン3C(ゼブラ)

ペン先のがたつきを抑え、「ブレない書き味」を実現したブレンの多色版が新たに発売された。

ブレン3C

多色ボールペンはどうしてもペン先のがたつきが大きくなりがちだが、このブレン3Cではその問題が著しく改善されている。ブレン単色ほどペン先が完全にホールドされているわけではないが、多色ペンではトップクラスのがたつきのなさが実現されている。従来のがたつきの少ない多色ペンと言えば、例えば三菱鉛筆の「クリフター」が挙げられるが、このブレン3Cはそれよりもがたつきが抑えられている。

口金には金属が用いられている。多色軸はリアヘビーになりがちであるが、ペン先を金属にすることによって重心バランスの調整がなされている。重心は、下軸(グリップ)と上軸の境目から約1cm後ろ側(レバー側)の位置にある。

ただし、ペン先の出る部分だけは樹脂となっている。理由は分からないが、“ブレない”ための工夫なのだろう。

ペン先のアップ
ペン先を正面から

ブレン3Cはノックレバーも特徴的。材質がラバーで、色を切り替えるときの音が低減されている。振り返れば、クリップオンマナー(現在は廃番)、クリップオンマルチ2000、スラリ300、シャーボXなどなど、ゼブラはこれまでも“音の小さい”ペンをたびたび出しており、音に対するこだわりと気遣いのあるメーカーだと思う。

レバー。黒はクリップから見て背面にある。

替芯にはブレン3C専用のSNC芯が使用されている。旧油性のSK芯と互換性があり、SNC芯をクリップオンマルチなどで使用することができるし、逆にSK芯をブレン3Cに差すこともできる。「ブレないペン先」は、軸側(口金側)の精度によって実現している模様で、SNC芯をクリップオンマルチなどに差すとがたつくが、SK芯をブレン3C軸に差すとがたつかない。

インク

インクはスラリと同じだと思われる。初期のスラリはダマと糸引きが激しかったが、それもずいぶんと改善されたように感じる。

ダイソー・スラーピィ(Sura-Pi)


 ダイソーで新発売の金属軸ノック式低粘度油性ボールペン。軸色は、写真の水色のほか、エメラルドやピンクなど数種類ある。


 インクは優秀。ダマ・カスレともに少なく、ナショナルブランド品に勝るとも劣らない。色味は紫色のてかりがある黒色だ。
 筆記抵抗はジェットストリームなどの主要な低粘度油性に近いが、柔らかい書き味が特徴的。軸の重心はフロント寄りで、安定した筆記感だ。


 珍しいことに、ペン先はニードルチップ。ボール径は0.7mm。
 リフィル形状は、長さ107mmで、互換芯としてはぺんてるのビクーニャ単色BXM芯が挙げられる。また、アクロ、スラリの単色芯は、リフィルを切って入れることができると思われる。なお、ジェットストリーム単色芯はバネ止め部品が干渉し、サラサなどの300系芯はそもそも径が大きく、それぞれ入れることは不可能だ。

 ダイソーということでお値段は100円+税。このレベルの金属軸がこの値段で実現できるということにとても驚きだ。

三菱鉛筆 リリーフ


 一見、2色ボールペン。2つの芯が中にあって、レバーがクリップの左右に2つ。でも、2色ボールペンではない。レバーの片側は押し下げられず、片方の黒芯しか出せない。
 では、もう一つの芯は何なのかというと、スペアリフィルだ。インクが切れたときの“リリーフ”登板のために、隣で待機しているのだ。

 いつ発売されて、いつ廃番になったのかは分からない。中に入っている芯は、1994年製のS-7L。レバーを下げて書いてみれば、20年以上経過していながら、いまだにちゃんとインクが出る。優秀だ。しかし、リリーフ芯に替えてみると、こちらはもうインクが出なかった。ダメじゃん。
 リリーフのリリーフを買ってこよう。

クリップオンマルチ1000M(限定色)


クリップオンマルチ1000M マットグリーン

 クリップオンマルチ1000の限定色。色は、マットブラック、マットブルー、マットレッド、マットバイオレット、マットグリーンの5色。写真はマットグリーン。どの軸色もジェットストリーム4+1とほぼ同じ色味で、完全に意識している。
 クリップとグリップは従来品の黒軸からの流用で、軸色とは異なる。


筆跡

 芯は従来品と同じSK-0.7芯。安心の旧油性だ。

ゼブラSK-0.7芯の耐水性・有機溶剤耐性テスト

 ゼブラSK-0.7芯の耐水性ならびに有機溶剤耐性のテストを行った。試験方法は以下の通り。なお、用いたSK-0.7芯は2013年12月製である。

・耐水性試験 … 筆記後約1時間乾燥させ、水道水に約24時間浸す。
・有機溶剤耐性試験 … 筆記後約1時間乾燥させ、除光液(成分下記)に約1時間浸す。
※除光液の成分:アセトン、エタノール、イソプロパノール、酢酸エチル、水、プロピレングリコール、パルミチン酸、エチルヘキシル、アボカド油

 結果を次の画像に示す。



 水に浸した方は、どの色も多少のにじみが見られるが、筆跡ははっきりと残っている。油性らしい耐水性を保持していると言えるだろう。
 有機溶媒の方は、赤色の筆跡が完全に消えた。黒、青、緑の筆跡は残っているが、退色がかなりひどい。そのため、さらに浸し続けたり、超音波で強力に洗浄したりすると、筆跡が消えてしまう可能性がある。

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