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ちえなみき

新幹線の終点となってにぎわいの増した福井県の敦賀駅。その駅前に「ちえなみき」という書店がある。2022年にオープンした新しい書店で、売れ筋の本はあまり置いておらず、その代わりに目利きの選んだ書籍が並べられている。本のテーマは幅広く、生活に即したものから、巷の書店ではなかなか目にすることがないような専門性の高いものまである。本棚は木の幹や枝を模した形に並べられており、目当ての本を探し出すというよりは、偶然の出会いを楽しむコンセプトとなっている。

この書店を運営しているのは丸善のグループ企業だが、開店を主導したのは敦賀市自身というのだから驚きだ。書店が公設民営の形を取るのは日本では初めての事例だという。敦賀市の人口は約6万人で、このようなニッチな商売が成り立つ規模ではない。単純なビジネスの観点だけでは、この書店はできなかっただろう。

人口が減少していく地方では、文化へのアクセシビリティも失われていくのが通例だ。この書店はそこに一石を投じるような取り組みで、その行く先に注目している。

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