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“滝沢市”誕生へ

  • 2012/12/16 00:37
  • タグ:地理
 日本の町村で最も人口の多い岩手県の滝沢村が「市」になることが決まった。村が町をすっ飛ばして市になるのは、沖縄県豊見城市に次ぐ2例目となる見通しだ。
 「市」になるための人口要件は5万人(ただし市町村合併によるものは3万人)であるが※1、滝沢村はとうの昔に5万人を超えていた。それにもかかわらず市にならなかった背景には、やはり「日本一人口の多い村」の名を保持しておきたい、という考えもあっただろう。
 しかし、理由はそれだけではない。そもそも、滝沢村の人口がこれだけ多いのは、盛岡市のベッドタウンとして発展してきた背景があるからである。その反面、村民の生活は盛岡市に強く依存しているため、村内に市街地や官公庁類の集積がないという状況を作り出していた。これが市になるのを阻んでいた。
 市になるための最も重要な要件は人口であるが、ほかにも備えなければいけないことがある。その条件は、地方自治法第8条に(実質)3つ、それに付随する岩手県条例に9つ記載されている。計12個ある市制要件のうち、滝沢村が引っかかっていたのは以下の2つだったと思われる。
 当該普通地方公共団体の中心の市街地を形成している区域内に在る戸数が、全戸数の六割以上であること。
(地方自治法第8条 第1項第2号)
 地方事務所、税務署、公共職業安定所等の官公署が、5以上設けられていること。
(岩手県・地方自治法第8条第1項第4号の規定による都市的施設その他の都市としての要件に関する条例 第1号)
 このうち、条例側の官公庁に関する要件は、条例を緩和することによって決着がついたそうだが、前者はどうなったのか不明である。村の公式サイト(市制施行Q&A)には「調査を進める」とだけ書いてあるが、市になることが決定した手前、クリアしたのだろう。

※1 全国には人口が3万人以下の市が過疎地を中心にいくつも存在するが、これは市から町村への降格はないことによるところが大きい。

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